2026.03.30
cut8 同居人たち
イブはコロニーの中を見て歩く。
同居人となった整備ロボットたちは
イブの存在に気を止めること無く作業を進める。
壁面の整備パネルは幾重にも口を開き、
内部では細かな光が明滅している。
一つの個体が膝をつき、
露出した配線を順に確かめていた。
イブはふと思った。
自分がここに来た時は殆ど作業していなかったのに
その後から徐々に作業が増えている気がする。
そして単なる偶然だろうと直ぐに思い直し、考えるのをやめる。
別の個体は壁際に立ち、
工具の先で淡々と端子を調整している。
その動きには迷いがなく、
互いに言葉を交わすこともない。
ガラス越しの遠景は淡く霞み、
外周の構造体が白く沈んで見えた。
かつて多くの人が行き交ったはずの区域も、
今や整備ロボットたちの通路でしかない。
彼らは顔を上げない。
イブに命令を求めることもない。
通路の先はゆるやかに湾曲し、
白い光のなかへ溶けるように続いている。
イブはその先に、
見覚えのある扉を目にする。