2026.04.01
cut11 漂うイブ
宇宙空間に現れたイブ。
間近に見える遥か遠方の惑星。
そして自分が飛ばされたことに気付く。
そこが極限の環境であることは疑う余地もなく、
フィールド領域で守られているのは確かであった。
巨大な惑星と広大な宇宙。
それを目にしていると不意に意識が吸い込まれ
溶けて無くなり、
数秒後にまた意識を取り戻す。
ほんの数秒の出来事であったが、
自分が自我意識をもって以来、
最も価値のある瞬間で、
今後同じことは2度と起きないであろうと、
ほとんど確信に近い感覚でそう理解した。
宇宙は何も語らず、ただ圧倒的な実在としてそこにあった。
イブは惑星を見つめた。
距離の感覚が、この空間では静かに壊れていた。
大きさも、時間も、自己さえも、
ここでは測ること自体が無意味であった。
そのとき、フィールドの外縁を淡い波紋のような光が走った。
何かが触れたのではない。
むしろ、空間そのものがこちらを認識したようである。
イブは初めて、自分が「飛ばされた」のではなく、
「招き入れられた」のではないかと考えた。