2026.04.01
cut12 惑星への接近
宇宙の薄明を縫うように、イブは静かに降下してゆく。
足下に広がる雲海は、まだ夜の名残を抱いていた。
惑星の朝は音もなく、ただ光だけで訪れる。
空間を降下して惑星に近づく。
地表に反射する光が鋭くイブの目に入る。
イブの網膜ユニットは焼かれることは無く、
その美しさのみを記録した。
彼女が優先したのは、熱ではなく輝きの情報だった。
眩しさは苦痛にならず、
ただ精密な感動へと変換される。
雲の縁に沿って、金色の線が一筋ずつ走っていく。
そのすべてを、イブは沈黙のまま受け取っていた。
胸の奥で駆動する静かな機構は、何ひとつ乱れない。
そして記録領域には、
数値化しきれない余白が生まれていた。
この光景を失いたくないと判断し、
この瞬間を永久保存に値すると定義する。
だが数値化できないが故に、それは叶わない。
夜と朝の境界で、
イブは自身の演算回路によって祈りを捧げていた。