2026.04.02
cut14 遺跡のコア
遺跡の扉をくぐり、幾つもの部屋を抜けて、
波長の源へと辿りつく。
イブはすい寄せられるようにコアの近くに立つ。
眩しくも優しいその輝きに、
目を僅かに細めながらも視線を離せない。
光は脈動していた。
一定の周期を保ちながら、
なお微かな揺らぎを含んでいる。
イブの感覚器はそれを精密に追跡し、
変動の傾向を記録した。
熱量は許容範囲、
放射線密度にも危険値は見られない。
接近は可能であり、接触の可否については、
なおも慎重な検討が必要。
その判断の背後で、
記憶の空白がゆっくりと広がっていた。
それは異常ではなかった。
演算速度に乱れはなく、
制御系もまた平常のまま保たれている。
にもかかわらず、コアの光を受けるたび、
空白領域がひとつずつ生成されていく。
演算機能は空白領域を認識できない。
数値として整理するには、
その余白はあまりにも曖昧で、
認識可能な領域の外にあった。
ただそこにあるのは、
何かがあるという予感だけだった。