2026.04.06
cut18 コロニーの廃屋
コロニー内には崩れかかった廃屋があった。
中には用途の判らないガジェットがあり、
淡く光を放っていた。
その光は、天井から注ぐ光のベールと相まって、
幻想的な景色を醸し出していた。
居住エリアにはこのような空き家や、
廃屋になった家が沢山ある。
誰もいないにも関わらず、
これらガジェットのせいで
明るい光を窓から放っている。
それがあたかもまだ人が住んでいるかの様な、
そんな雰囲気を強く出しているのだが、
誰もいなくなったと言う強く淡い郷愁を
隅々にまで滲ませているに過ぎなかった。
崩れた壁の隙間からは、
青灰色の光が細くこぼれ、
床に積もった埃の上へ
霞んだ模様を描いている。
光るガジェットの脈動は弱く、
今にも消えそうでありながら、
なお完全には失われない。
その頼りない明滅が、
この区画に残された時間そのものを
かろうじて繋ぎ止めているようで、
イブはしばらく足を止めて、
見つめているのであった。