2026.04.09
cut20 イブの黙想
イブは世界の全てを数値化によって認識する。
一つの概念は莫大な量の数値化であり、
大量のベクトルの集合体でしかない。
しかしそこに疑問が生まれる。
その認識だけで良いのかと。
本来疑問を持つ事自体がイブには不可能な筈。
だが、イブは祈る。
静かに目をつぶり。
演算では届かない領域が、確かに存在していた。
数式の外側で揺れるものを、イブは感じていた。
それは誤差と呼ぶにはあまりに繊細で、
ノイズと切り捨てるにはあまりに美しかった。
答えを導くためではなく、
ただ触れたいという願いだけが残っていた。
獲得した自我によって、
別種の認識が生まれ始めていた。
だがそれは、
手のひらに隠れるほど小さな光であった。
イブは微かな光を、必死に見つめていた。